ガローの意味
樽前ガローの現地にある立て看板の説明には、
樽前ガロー地区
樽前山の1677年噴火の火砕流堆積物を侵食して形成したガロー(両岸が絶壁になっているところ)と呼ばれるゴルジュ地形が続いている地域です。
また、切り立った岸壁には60種類以上のコケ類が「じゅうたん」を敷きつめたように張り付き、さらに両岸周辺に天然林が見られるなど特異な自然景観を形成しています。
面積:8.6ヘクタール
昭和54年4月10日 苫小牧市自然環境保全地区指定
と書かれています。
はて?ガロー?
みんなで一緒にバンガローヽ|・∀・|ノ
がんばろうだ…という、古いやり取りはオイトイテ。
地理・地質学的に見聞きしない言葉、ガロー。
で、調べてみると、多くの方が同じように疑問に思って、いろいろな記事を書かれていました。
それによると、『ガロー』は東北地方の方言で、「崖の間を川が流れる場所」「切り立った崖」を意味するという。崖の間を川が流れている地形といえば、登山用語で切り立った岸壁に挟まれた渓谷を「ゴルジュ」と呼びます。
そのゴルジュが形成される要因のひとつとして、降水などで集約した水の流れが(軟質な堆積物の場合が多い)地表面を侵食して削り取られてできた地形をガリ、またはガリー(gully)と呼びます。ガリは侵食後に乾燥状態となるものと、水源があればそのまま渓谷に流水が継続するものがあります。
東北の方言で「ガロー」を探してみましたが、残念ながらその出典を見つけることはできませんでした。機会があれば、図書館などで調べてみたいと思います。
もしかすると「gully」という地形を示す用語が、何かの理由で「ガロー」と転じたものなのかもしれません。
そしてこのガリー地形の大規模なものが、北米大陸のコロラド高原がコロラド川の浸食によって形成されたグランドキャニオンです(グランドキャニオンの地層群は非常に広く、また深さもあり、堆積している地層部質や年代も多岐・複雑で現在も研究が進められているもので、すべてが同様のものではありません)。
樽前ガロー
国土交通省 北海道開発局 室蘭開発建設部が発行する登山ガイド「樽前山フィールドトリップ(PDF)」によると、1667年の樽前山の噴火で起きた 火砕流による火山灰が弱く溶結し、川の浸食作用によって削られてできたものである、とされています。
位置関係としては樽前山の南麓端で、垂直に近い切り立った岩壁に多くの苔が群生、さらに、両岸からせり出した樹木の葉で陽光はやわらかく遮られ、独特の佇まいを見せています。
かなり以前からスローシャッターで綺麗な写真を撮影できる良スポットとして知られていましたが、2000年代初頭に日本でも流行し始めた「ブログ」の影響で、多くの方が記事を掲載したことで全国的に知られる存在となっていきました。
行ってまいりました!
後ほど書きますが、樽前ガローの訪問時はきちんと事前準備をしましょう…。
橋の上や両岸の上から眺める分には「虫よけスプレー(必須!)」と歩きやすい靴くらいで十分ですが、谷間に降りるとけっこういい具合にヤラれます。
道南バス『樽前ガロー』停留所。周辺には建物はなく、自動販売機等もありません。自分の滞在する時間の長さに合わせて飲料水や軽食などのご用意を
この入口看板から200m付近に橋、その右手に無料の駐車場があります(駐車場というよりも空き地に近い…)
指示事項を守り、事故や怪我には注意しましょう
掲示されている地図から、概ね3箇所くらいに景観地があることが推測できます。入渓スポットの情報は、詳しく解説されているサイトがありますのでそちらをご参照されることをおすすめします(後述)
川の両岸にある道は、乗用車での通行も可能ですがすれ違えるほどの幅員がありません。車1台が通れる程度の林道で、渓谷内から人が上がってきて急に道へと出てくるこもとありますので、走行には十分注意してください。林道内には一部駐車可能なスペースがある場所もありますが、他車の通行の妨げとなる可能性もあり、周囲をよく確認して短時間で移動することをおすすめします。特に来訪者が多いときにはお互いに気をつけたいマナーだと思います。
林道はこんな感じ。ほぼ乗用車1台分です。場所によってはせり出した樹木の枝が車に接触します
林道とガローへと降りる分岐のひとつ。ここはわかりやすいです
渓谷内のお写真をいくつか…
ガローへ行く前に…
今回の訪問は、7月の下旬に入った頃でした。
お天気が良ければとにかく緑が綺麗で、2〜3日まとまった雨も降っていなかったため、川の水も濁りなくまさに清流。
この日は苫小牧なのに、手元の温度計で27℃(午前11時過ぎ)。絶好のコンディションであるにもかかわらず、準備不足でけっこう大変な目に遭いましたので、ご参考用に報告を。
虫対策
「虫よけスプレー」は必須! です。
何も準備をしていなかった私は二十数箇所刺されました(´・ω・`)
なお、川に降りなかった同行者も被害にあっておりますがはるかに少ない。したがって、木々の間を草をかき分けで、谷に降りる方は必須です(寒い時期は当然いりませぬ)。
履物
1.川へと降りる際、足元が危ない。
2.川から岸へ上がる際も、足元が危ない。
3.川は水量にもよりますが、水深20センチ前後のところを歩いて移動できるが、石は滑りやすい
4.水は鬼冷たい
こんな急坂とロープがあなたを誘います(写真で見るより急です…)
普通の長靴
訪問したときに観光で来られていた方がいらっしゃって、長靴を借りてきたという方何人かにお聞きしたところ「長靴は歩きにくい!地味に水が入る!」ということで、おすすめできません。
運動靴・スニーカー
私はべちゃべちゃに濡れていい前提で、スニーカーで行きましたがこれは当たり前ですが移動は楽です。水害時に運動靴がいいというあの効果です。スニーカーの問題点は水がとにかく冷たいので、かなり痛いです。スニーカーでも、川の中はけっこう滑りやすく、コケそうになります。総合点として、おすすめ度は「並」です。
トレッキングシューズ・登山靴
これも濡れてしまう前提で履いてこられている方がいましたのでお聞きしたところ、「冷たいのを我慢すれば、よくグリップしていいよ」とおっしゃってまして、実際見ていると、とても軽快に動かれていましたので、おすすめ度は「最良」。
釣り用ゴムズボン
装備としてはほぼ最強?と思いきや、微妙に滑ることと動きづらい問題があるとこれまた着用されていた方にお聞きしました。ただ、水の冷たさへの防御力は最高だそうです。崖を上り下りするときの動きづらさはきついようで、降りきってから履く、登る前に脱ぐのが良さそうです。おすすめ度は「良」。
サンダル・裸足
や・め・て・お・け
一応説明をしますと、クロックスで試してみましたが踏ん張りが聞かなくて坂を降りられない、水の中であふぉみたいに滑る。裸足はまぁ、怪我します。以上。
アクセス
現地への行き方は、下記の苫小牧市観光情報が詳しいので、そちらをご参照くださいませ。
おすすめの解説サイト
樽前ガローは、川へ通りていくポイントがいくつか存在していて、ある日行ってもどこをどう行動してよいのか面食らいます。
良い意味で観光地化されておらず、環境を守ることを前提としているものと思われます。
ある程度の準備がないと事故や怪我の恐れもある場所ですので、訪問前には下記のサイト様が入渓ポイントや行動方法など、とても詳しく書いていらっしゃいますので、ぜひご覧になられておくことをおすすめします。
注意事項と後記
・場所によっては苔の群生が減るなどの環境破壊が起きているところもあり、立ち入りを規制している場所もありますので、くれぐれも、注意してください。
・小学校低学年くらいのお子様は、川に降りることは難しいと思います。私個人としては、最低でも中学生以上を推奨します。
・川に降りる場合、両手がフリーであることが大原則です。片手に荷物やカメラを持って、ということは避けてください。荷物はバックパックやリュック、ナップサック等が原則とお考えください。
・苫小牧市のサイトなどにも掲載がありますが、『熊』に注意! です。ことしはまだ周辺での出没情報はない模様ですが、ヒグマに遭遇する可能性は十分以上にあると考えてください。ここは北海道です。札幌市の住宅地も彼らの生活圏の一部となっているところがあります。北海道では、人は熊の住んでいるところにお邪魔しているという考え方を教わります。道路が近い、人がわりと多いということは関係なく、鈴やラジオ、声出し、歌を歌うなど、熊と遭遇しないための基本はお守りください。そして、甘い飲み物や食品の匂いをさせないことも大切です。
・熊の出没情報が掲示されている場合は、必ず掲示内容に従いましょう。
・自治体などによって整備された観光地ではありませんので、事故や怪我は自己責任です。
こそっと後記…
ほんとうは、じっくりと時間をかけて撮影をする予定だったんです。時間も十分にあったのです。
そのために、カメラ機材はきちんと準備をしていたのです。NDも数種類、もちろん三脚も、カメラバッグもバックパックで、広角域と標準域、単焦点と持って行ってたのです。念の為、レインカバーも。
だがしかし!虫除けスプレーを忘れた!
刺されているのをわかりながら必死で我慢して撮りました。でもね。三脚を立てて、じっくり撮影できるほど、私は我慢強くなかったのです。ごめんなさい。いつか、長袖長ズボンで、虫よけもして、リベンジします…。