幻の蕎麦 奈川在来
奈川村は、旧信州(長野県)中西部、西筑摩郡(現在の木曽郡)に属し、後に南安曇郡。
平成の市町村合併によって、四賀村、安曇村、梓川村と共に松本市に編入され、廃村した。岐阜県高山市、木曽、安曇へと結ぶ街道筋で、かつては野麦峠を越えて工女が往来、師走には松本平に年取魚のブリが運ばれた要衝。
背後に飛騨高山、四方を名峰乗鞍岳などの山々に囲まれる。高度は海抜1,000メートル〜1,400メートルで、高地である。
このような、奈川の地に野生種として存在していたそばが奈川在来種である。
在来種とは
地域に古くから存在する生物種やその系統を指す。生物学で主に用いられる。下位区分は、亜種、品種。
在来種に対して、外来種という。
そばの場合、増収が目的の品種改良などを伴わない、種苗法における育成品種、登録品種、出願品種に該当しないもので、当該の土地名に「在来」を付記して、表記するのが一般的である。
そばの在来種は非常に数が多い。国内の多くの大学や企業、国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構(NARO)などで、種苗の保護・保管、研究が行われている。
奈川在来
奈川は、古くから良質なそばの産地として知られ、文献の最古の記述は280年以上前とされる。
長い年月に渡って守り伝えられてきた奈川のそばは、1998年の台風により壊滅的な被害を受け、以降、そばの生産が途絶える。
幻の蕎麦
原生由来地で、その在来種の生産が行われなくなったことにより、奈川在来は正に幻のそばと云われるに至る。
そもそも奈川在来は、他の多くの品種よりも粒が一回り小さく、現地で生産が行われていたときでも「幻のそば」「幻の味」と呼ばれていた。
奈川地区で一度途絶えた在来種のそば生産は、地元の熱意でわずかに一握り残っていた在来種を見つけ出し、その希少な種を2006年から10年の歳月をかけて耕地面積を増やして復活させた。
その幻のそばにひとかたならぬ情熱を注ぎ、北海道黒松内町で生産を行っているのが黒松内町でアルプス・ファームを営む落合勝雄氏。広大な畑の真ん中に家を建てて、そばと共に暮らされているという。
奈川在来を育てているのは、北海道では黒松内町のみである。
きむらさん訪問
6月末に、きむらさんを訪問しました。
折からの天候不順がつづく北海道。この日の小樽も、雨こそどうにか降らずにもっているものの、厚い雲が低く垂れ込め、どよ〜ん。
札幌市内を10時半頃に出発、北1条宮の沢通りをどんどん進み、国道5号に乗り銭函ICから札樽道で終点小樽まで。
小樽ICからそのまま5号線に乗り直し、小樽駅前を通過して、幸方面へ。
そういえば、今年度(平成30年度)中に北海道横断自動車道 黒松内線が「余市」まで開通する予定ですね。機会があればレポートしようと思います。
到着!
こちらが店舗。ちんたこら走って来たので、到着したのはお昼少し前。
店内には靴を脱いで上がります。ガラスの奥にそば打ち場が見えます。
店内。電動の石臼挽機が鎮座。
こちらが厨房。
きむらのご主人である木村さんは、小樽市内で30年以上に渡って調理師をされていました。
ご主人は大のそば好き。それか高じて、名店と称されるそば店のひとつ、真狩村(ニセコと表記されている場合もありますが、ニセコ町が近いだけで、真狩です)の「いし豆」さんで修行の後、2009年春に自宅1階を改装して「手打ち蕎麦 きむら」を開業されました。
黒松内で生産されている奈川在来種を直接仕入れしているのは、道内では、ここ「きむら」さんと、真狩の「いし豆」さん、札幌は藤野の「此花」さんだけだそうです。
お品書きを開いた直後、注文が決定しました(笑)
言葉を失う美しいお蕎麦。写真は大盛りです!
大根おろしに山わさびが和えられて…
おそば…
つゆに安住される山わさびおろし。箸でひとつまみ蕎麦に乗せて、そして、少しずつ崩して…
幸福な時間が流れてゆきます。
味の説明はいたしません。どうぞ、お食べになられてご自分でお感じいただければ…
ねぎ。綺麗です。
ねぎは最後に、蕎麦湯と共にいただきました。
そばがき
こちらが、そばがき。
山芋が入っています。ぷりぷり、ふわふわ。岩塩または甘みを加えたおつゆでいただきます。
蕎麦の香りが口の中いっぱいに広がり、喉から鼻腔まで一気に満たされます。蕎麦の風味がお好きな方にはぜひおすすめしたい逸品です。
手打ち蕎麦 きむら 所在地・営業時間
所在地:北海道小樽市幸3丁目16番8号
電 話:0134-29-0262
定休日:毎週 水曜日・木曜日
時 間:11:30〜15:00 (お蕎麦が売り切れ次第閉店)
駐車場:8台(店舗向かい)
交 通:バス → 中央バス小樽市内線「幸、オタモイ行」で幸会館下車徒歩約1分
こちらが駐車場
お店の略地図
お品書き
それではみなさん、また次のお店でお会いしましょ〜