温泉法による定義
温泉法は、昭和23年(1948年)7月10日制定された法律第125号。最終改正は、平成19年11月30日法律第121号。
温泉
地中からゆう出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く。)で、下表の温度又は物質を有するものと定義されている。
1. 温度(温泉源から採取されるときの温度) 摂氏25度以上 | |
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2. 物質(以下に掲げるもののうち、いずれか一つ) | |
物質名 | 含有量(1kg中) |
溶存物質(ガス性のものを除く。) | 総量1,000mg以上 |
遊離炭酸(CO2)(遊離二酸化炭素) | 250mg以上 |
リチウムイオン(Li+) | 1mg以上 |
ストロンチウムイオン(Sr2+) | 10mg以上 |
バリウムイオン(Ba2+) | 5mg以上 |
フェロ又はフェリイオン(Fe2+,Fe3+)(総鉄イオン) | 10mg以上 |
第一マンガンイオン(Mn2+)(マンガン(Ⅱ)イオン) | 10mg以上 |
水素イオン(H+) | 1mg以上 |
臭素イオン(Br–)(臭化物イオン) | 5mg以上 |
沃素イオン(I–)(ヨウ化物イオン) | 1mg以上 |
ふっ素イオン(F–)(フッ化物イオン) | 2mg以上 |
ヒドロひ酸イオン(HASO42-)(ヒ酸水素イオン) | 1.3mg以上 |
メタ亜ひ酸(HASO2) | 1mg以上 |
総硫黄(S) [HS–+S2O32-+H2Sに対応するもの] | 1mg以上 |
メタほう酸(HBO2) | 5mg以上 |
メタけい酸(H2SiO3) | 50mg以上 |
重炭酸そうだ(NaHCO3)(炭酸水素ナトリウム) | 340mg以上 |
ラドン(Rn) | 20(百億分の1キュリー単位)以上 |
ラジウム塩(Raとして) | 1億分の1mg以上 |
療養泉
療養泉とは、温泉(水蒸気その他のガスを除く。)のうち、特に治療の目的に供しうるもので、下表の温度または物質を有するものと定義されている。
1. 温度(源泉から採取されるときの温度) 摂氏25度以上 | |
---|---|
2. 物質(以下に掲げるもののうち、いずれか一つ) | |
物質名 | 含有量(1kg中) |
溶存物質(ガス性のものを除く。) | 総量1 000mg以上 |
遊離二酸化炭素(CO2) | 1 000mg以上 |
総鉄イオン(Fe2++Fe3+) | 20mg以上 |
水素イオン(H+) | 1mg以上 |
よう化物イオン(I–) | 10mg以上 |
総硫黄(S)〔HS–+S2O32-+H2Sに対応するもの〕 | 2mg以上 |
ラドン(Rn) | 30(百億分の1キュリー単位)= 111Bq以上(8.25マッヘ単位以上) |
療養泉の泉質分類
掲示用 泉質名 |
新泉質名 | 旧泉質名 | 略記泉質名 |
①単純温泉 | 1.単 純 温 泉 | 単純温泉、アルカリ性単純温泉 | |
②二酸化炭素泉 | 2.単純炭酸泉 | 単純二酸化炭素泉 | 単純CO2泉 |
③炭酸水素塩泉 |
3.重炭酸土類泉 (a)純重炭酸土類泉 (b)含炭酸-土類泉 (c)含食塩-重炭酸土類泉 (d)含芒硝-重炭酸土類泉 4.重曹泉 |
カルシウム(・マグネシウム)-炭酸水素塩泉 カルシウム(・マグネシウム)-炭酸水素塩泉 含二酸化炭素-カルシウム(・マグネシウム) -炭酸水素塩泉 カルシウム(・マグネシウム)・ナトリウム- 炭酸水素塩・塩化物泉 カルシウム(・マグネシウム)・ナトリウム- 炭酸水素塩・硫酸塩泉 ナトリウム-炭酸水素塩泉 ナトリウム-炭酸水素塩泉 含二酸化炭素-ナトリウム-炭酸水素塩泉 ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉 ナトリウム-炭酸水素塩・硫酸塩泉 ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物・硫酸塩泉 ナトリウム・カルシウム(・マグネシウム)- 炭酸水素塩泉 |
Ca(・Mg)-HCO3泉 Ca(・Mg)-HCO3泉 含CO2-Ca(・Mg)-HCO3泉 Ca(・Mg)・Na-HCO3・Cl泉 Ca(・Mg)・Na-HCO3・SO4泉 Na-HCO3泉 Na-HCO3泉 含CO2-Na-HCO3泉 Na-HCO3・Cl泉 Na-HCO3・SO4泉 Na-HCO3・Cl・SO4泉 Na・Ca(・Mg)-HCO3泉 |
④塩化物泉 |
5.食 塩 泉 (a)純食塩泉 (b)含炭酸-食塩泉 (c)強食塩泉 (d)弱食塩泉 (e)含重曹-食塩泉 (f)含芒硝-食塩泉 (g)含芒硝-重曹-食塩泉 (h)含塩化土類-食塩泉 (i)含土類-食塩泉 (j)含土類・石膏-食塩泉 (k)含臭素・食塩泉 (l)含ヨウ素-食塩泉 (m)含臭素・ヨウ素-食塩泉 (n)含ホウ酸-食塩泉 |
ナトリウム-塩化物泉 塩化物泉 ナトリウム・カルシウム(・マグネシウム)- 塩化物・炭酸水素塩泉 ナトリウム・カルシウム-塩化物・炭酸水素塩 泉・硫酸塩泉 |
Na-Cl泉 Na-Cl泉 含CO2-Na-Cl泉 Na-Cl強塩泉 Na-Cl泉 Na-Cl・HCO3泉 Na-Cl・SO4泉 Na-Cl・SO4・HCO3泉 Na・Mg(・Ca)-Cl泉 Na・Ca(・Mg)-Cl・HCO3泉 Na・Ca-Cl・HCO3・SO4泉 Na-Cl泉 含I-Na-Cl泉 含I-Na-Cl泉 Na-Cl泉 |
⑤含よう素泉 | 例えば (a)含ヨウ素-食塩泉 (b)含臭素・ヨウ素-食塩泉 |
含よう素-ナトリウム-塩化物泉 含よう素-ナトリウム-塩化物泉 | 含I-Na-Cl泉 含I-Na-Cl泉 |
⑥硫酸塩泉 | 6.硫 酸 塩 泉 (a)純硫酸塩泉 (b)正苦味泉 (c)芒硝泉 (d)石膏泉 (e)含食塩-芒硝泉 (f)含食塩-石膏泉 (g)含食塩-正苦味泉 | 硫酸塩泉 硫酸塩泉 マグネシウム-硫酸塩泉 ナトリウム-硫酸塩泉 カルシウム-硫酸塩泉 ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉 カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉 マグネシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉 |
SO4泉 SO4泉 Mg-SO4泉 Na-SO4泉 Ca-SO4泉 Na-SO4・Cl泉 Ca・Na-SO4・Cl泉 Mg・Na-SO4・Cl泉 |
⑦含鉄泉 |
7.鉄 泉 (1)炭酸鉄泉 (a)単純炭酸鉄泉 (b)含炭素・鉄泉 (c)土類炭酸鉄泉 ア.純土類炭酸鉄泉 イ.含食塩-土類炭酸鉄泉 ウ.含芒硝-土類炭酸鉄泉 (d)重曹炭酸鉄泉 ア.純重曹・炭酸鉄泉 イ.含食塩-重曹炭酸鉄泉 ウ.含芒硝-重曹炭酸鉄泉 エ.含食塩・芒硝-重曹炭 酸鉄泉 オ.含土類-重曹炭酸鉄泉 (e)含食塩-炭酸鉄泉 (f)含硫酸塩-炭酸鉄泉 8.緑礬泉 (a)単純緑礬泉 (b)酸性緑礬泉 (c)含ヒ素緑礬泉 (d)含明礬・緑礬泉 |
鉄泉 (鉄(II)-炭酸水素塩泉) 単純鉄(II)泉(炭酸水素塩型) 含鉄・二酸化炭素-カルシウム-炭酸水素塩泉 カルシウム(・マグネシウム)・鉄(II)-炭 酸水素塩泉または含鉄(II)-カルシウム(・ マグネシウム)-炭酸水素塩泉 カルシウム(・マグネシウム)・鉄(II)-炭 酸水素塩泉または含鉄(II)-カルシウム(・ マグネシウム)-炭酸水素塩泉 カルシウム(・マグネシウム)・ナトリウム・ 鉄(II)-炭酸水素塩・塩化物泉または含鉄 (II)-カルシウム(・マグネシウム)・ナト リウム-炭酸水素塩・塩化物泉 カルシウム(・マグネシウム)・ナトリウム・ 鉄(II)-炭酸水素塩・硫酸塩泉または含鉄 (II)-カルシウム(・マグネシウム)・ナト リウム-炭酸水素塩・硫酸塩泉 |
Fe泉 (Fe(II)-HCO3型) 単純Fe(II)泉(HCO3型) 含Fe(II)・CO2-Ca-HCO3泉 Ca(・Mg)・Fe(II)-HCO3泉 含Fe(II)-Ca(・Mg)-HCO3泉 Ca(・Mg)・Fe(II)-HCO3泉 含Fe(II)-Ca(・Mg)-HCO3泉 Ca(・Mg)・Na・Fe(II)-HCO3・C l泉 含Fe(II)-Ca(・Mg)・Na-HCO3・Cl泉 Ca(・Mg)・Na・Fe(II)-HCO3・S O4泉 含Fe(II)-Ca(・Mg)・Na-HCO3・SO4泉 |
⑧硫黄泉 |
9.硫 黄 泉 (1)硫黄泉 (a)単純硫黄泉 (b)含食塩-硫黄泉 (c)含食塩重曹-硫黄泉 (2)硫化水素泉 (a)単純硫化水素泉 (b)酸性硫化水素泉 (c)土類硫化水素泉 ア.含食塩-土類硫化水素泉 イ.含石膏-土類硫化水素泉 (d)重曹硫化水素泉 ア.重曹硫化水素泉 イ.含芒硝-重曹硫化水素泉 (e)塩化物硫化水素泉 ア.食塩硫化水素泉 イ.塩化土類硫化水素泉 ウ.含重曹-食塩硫化水素泉 エ.含石膏-食塩硫化水素泉 (f)硫酸塩硫化水素泉 ア.石膏硫化水素泉 イ.含食塩-芒硝硫化水素泉 ウ.含食塩-石膏硫化水素泉 |
硫黄泉 含硫黄-ナトリウム-塩化物泉(硫化水素型) 含硫黄-カルシウム(・マグネシウム)-塩化 物泉(硫化水素型) 含硫黄-ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉 (硫化水素型) 含硫黄-ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫 酸塩泉(硫化水素型) 含硫黄-カルシウム硫酸塩泉(硫化水素型) 含硫黄-ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉(硫化 水素型) 含硫黄-カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩 化物泉(硫化水素型) |
S泉 含S-Na-HCO3泉(H2S型) 含S-Na-HCO3・SO4泉(H2S型) 含S-Na-Cl泉(H2S型) 含S-Ca(・Mg)-Cl泉(H2S型) 含S-Na-Cl・HCO3泉(H2S型) 含S-Na・Ca-Cl・SO4泉(H2S 型) 含S-Ca-SO4泉(H2S型) 含S-Na-SO4・Cl泉(H2S型) 含S-Ca・Na-SO4・Cl泉(H2S 型) |
⑨酸性泉 | 10.酸性泉 (a)単純酸性泉 | 単純酸性泉 | 単純酸性泉 |
⑩放射能泉 | 11.放 射 能 泉 | 単純弱放射能泉 単純放射能泉 含弱放射能-○-○泉 または含放射能-○-○泉 | 単純弱Rn泉 単純Rn泉 含弱Rn-○-○泉 含Rn-○-○泉 |
温泉法の概要
温泉を保護し、温泉の採取等に伴い発生する可燃性天然ガスによる災害を防止し、及び温泉の利用の適正を図り、もって公共の福祉の増進に寄与することを目的としています。
温泉の保護等
温泉の掘削等の許可制
温泉の掘削・増掘、動力の装置は、都道府県知事の許可が必要です。
(温泉のゆう出量・温度・成分に影響を及ぼすと認める場合、掘削等の方法が可燃性天然ガスによる災害の防止に関する技術基準に適合しない場合等は、不許可となります。)
温泉源保護の措置
都道府県知事は、必要があるときは温泉採取制限命令、他目的掘削の影響防止措置命令を行うことができます。
温泉の採取に伴う災害の防止
温泉の採取の許可制
温泉の採取は、都道府県知事の許可が必要です(可燃性天然ガスの濃度が災害防止措置を必要としないものとして都道府県知事の確認を受けた場合を除きます。)。
(温泉の採取のための施設の位置・構造・設備等が可燃性天然ガスによる災害の防止に関する技術基準に適合しない場合等は、不許可となります。)
温泉の利用
温泉の公共的利用の許可制
温泉を公共の浴用・飲用に供しようとする場合は、都道府県知事又は保健所設置市(区)長の許可が必要です。
(温泉の成分が衛生上有害であると認める場合等は、不許可となります。)
温泉の成分、禁忌症等の掲示
利用の許可を得た施設では、温泉の成分・禁忌症等の掲示が必要です(掲示は、登録分析機関の行う温泉成分分析の結果(10年に一度の定期的な分析を要する)に基づくことが必要です。)。
国民保養温泉地の指定
環境大臣は、温泉の公共的利用増進のための地域を指定することができます。
(*その他、都道府県知事等による許可の際の条件付与、報告徴収及び立入検査並びに罰則等の規定あり。)
(出典:環境省自然環境局自然環境整備課温泉地保護利用推進室 http://www.env.go.jp/)