日本で唯一の流氷観光の季節が幕開け
流氷の海を進む、冬のオホーツク観光を代表する流氷砕氷船ガリンコ号の運航が2019年1月10日から開始された。
ガリンコ号は巨大なスクリューで流氷を砕きながら進み、毎年多くの観光客がオホーツクの雄大な自然を船の上から満喫できる人気の観光船。
この日は安全祈願が行われたあと、招待された外国人技能実習生ら約100人を乗せ出港した。
流氷は、ほぼ平年と同じ紋別市の北東約100キロメートルまで南下
網走地方気象台によると、流氷はほぼ平年並みの移動状況で、紋別市の北東約100キロメートルまで南下、早ければ再来週頃にも接岸の可能性があるという。
ガリンコ号は今年、2月限定で午前7時半発の臨時便の運行も予定している。
なお、網走流氷砕氷観光船「おーろら」は、1月20日に今季の運行を開始する。
流氷砕氷船ガリンコ号
紋別市の紋別港で観光目的に運用されている砕氷船。
「ネジを廻すと前に進む」というアルキメデスのねじの原理を利用した「アルキメディアン・スクリュー」と呼ばれる螺旋型のドリルを船体前部に装備していて、それを回転させ氷に乗り上げ、船体重量を加えて氷を割ることで流氷域の航行ができる。
初代と2代の2つの船があり、初代ガリンコ号は、北海道遺産のひとつで、初代ガリンコ号は紋別海洋公園内ガリヤゾーンに陸揚げ、展示されている。
ガリンコ号初代
初代ガリンコ号は、三井造船がアラスカ油田開発のために建造した実験船「おほーつく」。1981年(昭和56年)12月26日に建造進水した。
1985年(昭和60年)の実験終了に伴い、有効利用のために日本船用機器開発協会(現・日本船用工業会)および三井造船の協力のもとに観光船に改造され、紋別市へと傭船された上で船名を「ガリンコ号」と改められた。
1987年(昭和62年)2月1日就航。当初の定員は32名で、世界初の流氷砕氷観光船だった。
船歴 | |
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進水 | 1981年12月26日(実験船「おほーつく」時) |
就航 | 1987年2月1日 |
退役 | 1996年3月10日 |
その後 | 紋別海洋公園内ガリヤゾーンにて陸揚げ展示中 |
性能諸元 | |
総トン数 | 39G/t |
全長 | 24.9m |
全幅 | 7.6m |
深さ | 2.3m |
吃水 | 船首 1.38m 船尾 2.3m |
機関 | アルキメディアン・スクリュー 4基 |
出力 | |
航海速力 | 3ノット
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定員 | 70名(就航当初は32名) |
ガリンコ号II
初代ガリンコ号が実験船を改造した船であるのに対し、後継機であるガリンコ号IIははじめから流氷観光をターゲットに設計された。
総トン数は初代の4倍近い150tとなり、定員も195名と大幅に増員され、冷暖房完備の客室を持ち、自動販売機や売店も完備しているため、快適にクルージングをすることが出来る。
ヤマニシで建造され、1997年(平成9年)1月に就航した。
沖合10kmまでの航行が可能となり、これに合わせて夏期の運航も開始された。夏場は便によりデッキから釣りをすることも出来る。
特徴であったアルキメディアン・スクリューは初代の4本から2本に減ったが、砕氷能力はアップし、氷厚60cmの氷を割りながら進むことが出来るようになった。
性能諸元 | |
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総トン数 | 150G/t |
全長 | 35.0m |
全幅 | 7.00m |
深さ | 2.70m |
吃水 | 1.9m |
機関 | メルセデス・ベンツ製ディーゼル機関
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出力 | 735kw |
航海速力 | 11ノット |
定員 | 195名 |
船内設備 | 売店、自動販売機、トイレ |
流氷砕氷観光船おーろら
「おーろら」は、南極観測船「しらせ」の設計と建造実績のある「日本鋼管(設計当時・現ユニバーサル造船(株)」へ設計を依頼し、北海道室蘭市の「楢崎造船」にて建造された。
「おーろら」は平成2年9月進水、同年11月完成、翌年平成3年1月より網走港を基地として運航を開始、年々増加する旅客への対応も1隻では限界になり、平成6年10月姉妹船「おーろら2」が進水した。
翌平成7年1月完成、同年同月、現在の2隻体制で運航を開始。
同2船は、4月下旬から10月まで世界遺産・知床の沖合を巡る観光船として運用されている。
南極観測船しらせと同様の砕氷方式
現在世界で運航されている観光用の砕氷船は数隻ありますが、いずれも他の目的で作られたものを観光用に転用されたもの なので、初めから観光用の設計された「おーろら」は世界初の流氷観光砕氷船ということになります。
また紋別で運航されている「ガリンコ号Ⅱ」は砕氷方式が「おーろら」と異なり、船体の最前部にあるドリル状のスクリューを回転しながら砕氷して進む方式に対して、「おーろら」は南極観測船「しらせ」と同様 氷塊を船の重さで砕氷してゆく方式です。
「おーろら」は南極観測船「しらせ」のミニチュア版といえます。
(道東観光開発ホームページより)
全長 | 45.0m |
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幅長 | 10.0m |
深さ | 4.8m |
喫水(計画) | 3.7m |
最高速力 | 14.3ノット |
氷海中の速度 | 3ノット |
総重量 | 491トン |
最大砕氷能力 | 約80cm |
最大定員 | 450名 |
造船所 | 日本鋼管(株) 楢崎造船所 |