瀬戸瀬温泉
北海道の北東、市部を除く町村でオホーツク管内の最大人口2万人余りを擁する遠軽町からおよそ20kmの山中に瀬戸瀬温泉はあります。
昭和31年に林業組合によって開発、開湯。
瀬戸瀬の地名は、アイヌ語の鳥の巣の多いところを意味する「セトシ」に由来するといわれる。
泉質はアルカリ性単純温泉(低張性アルカリ性高温泉)。地下106m地点からの掘削自噴で、湧出量は毎分180リットル。源泉温度は42.8℃。湧出する温泉は遠軽町の地ビールに使用されている。
源泉かけ流し。男女別の内風呂が各1つ。露天風呂なし。
経営難
昭和後期年代に、建物の老朽化や近傍の公営温泉施設などに客が流れるなどして経営難に陥り、一時は廃業・閉鎖近くまで追い込まれたが、平成10年(1998年)から宿泊を素泊まり限定として食事の提供を中止するなどの再建を進める。この頃、日本ではインターネットが急速に普及段階に入っている時期で、北海道を周遊旅行するライダーの口コミや所在地の秘境感、透明度の非常に高い源泉かけ流しの温泉に北海道内の温泉ファンや地元客に再認識され、やがて道外からも多くの旅行者が訪れるようになった。
2017年1月に楽天トラベルが発表した「全国秘湯の宿ランキング」で、4位になるなど人気が高い。
宿泊口コミは両極端・温泉評価は高い
有力旅行サイトにおける口コミは良悪が極端に分かれている評価が多い。
佇まいや所在地の秘境感など瀬戸瀬温泉ホテルに対して一定の「前提」を置いて訪れている人々は、ほぼ高評価で、非常に満足しているものが多い。
逆に、宿泊施設に最低限これ以上というような「条件」を課している場合、大半が低評価となっている。
宿泊施設としての評価は分かれているが、温泉の評価は総じて高い。
評価として、
・建物に入った瞬間異臭がする
・部屋に蜘蛛の巣がいくつもあった
・建付けが悪くなって窓が開かない。窓が汚い
・トイレの悪臭がひどい
などの内容で低評価にしている人がいる一方で、これらを「日常とかけ離れた素晴らしい体験ができた」と、とても高い評価を付けている人が多く存在するのも特徴的である。
行ってみよう!
旭川紋別自動車道・遠軽瀬戸瀬インターを降りてすぐの道道493号線を右折。はじめは道の両脇に田畑が広がるいわゆる扇状地形を進みまして、ほどなく廃屋がぽつぽつと。気がつけば道は細くなり、木々が高くなっていきます。
道合ってる?
途中で、ほとんどの方がこの会話になるでしょう。「道、合ってる?」(笑)。
笑いごとではありません。けっこうな不安感が漂います。
インターチェンジからおよそ8kmの道のりです。8kmって、こんなに長いか?と思ってしまいます。
そうこうしていると、少し開けた場所が見えてきまして、
あった!あった!喜びます……あった?のか?
あった。けど。なぜか、一同、むむむ、となります……
この先はないんだね…
地図ではさらに先に道路があることになっていますが、通行止。冬季間だけでしょうか。
どーん。2階が客室のようです。
なぜでしょう。私の頭の中では、昭和51年公開の大ヒット映画「犬神家の一族」のテーマ曲「愛のバラード」がリフレインして参ります。
昭和情緒たっぷり
正面玄関。入った瞬間やられます。わくわくします
玄関を入って正面に受付(フロント)がありあす。階段は2階の客室へ
喫煙所、というか喫煙コーナー兼歓談コーナー。アナログテレビと「王将」に「花瓶」。テレビにレースがかかっていればなお可、といった感じ。とにかく楽しいです
温泉の建物は別棟となっていて、渡り廊下を通ります。渡った先の右手に手洗い場があり、地元のお客さんが到着早々こちらの蛇口をひねり、水をゴクゴク飲んでいらっしゃいました。あとで聞くと、この周辺は地下水や湧き水があまり良くないため温泉を冷やして使っているそうで、蛇口の水は「温泉水」だそうです。飲んでみましたが、臭みなどはなく、やわらかく飲みやすい水でした。
温泉棟の休憩所。床にカメムシさんがけっこういらっしゃるので、踏まないように気をつけましょう。
温泉へ
突き当りのベンチの脇に、女性用入口があります。
男性側脱衣所
最近は古い銭湯でもあまり見かけなくなった、懐かしい体重計
らんらんらんらららんらんらぁ〜♪ とにかくお湯の透明感に驚く
ここまでの状況からお風呂はどんな感じだろうか…と思っていましたが、
浴槽も浴場も、びっくりするほどきれいに清掃されています。不快感のかけらもありません。他の温泉施設と比べても、上位ランクです。
さらに、温泉の透明感がすごい。ナウシカがお城の地下で腐海の植物を育てていたお部屋に流れる地下500メルテから汲み上げた水のようです(わかる人だけ…)。泉質はほんのりと滑らかさがありますが、さらさとした感じで爽やかです。温度も40℃〜41℃弱くらいで、のんびり入れる好みの熱さ。
源泉かけ流しで、浴槽から次々にお湯が溢れ出しているので、余計に透明感が増しているようです。
「これは人気があるはずだ」と思いました。
窓からの陽射しがこれまた気持ちいいのです。
とにもかくにも、秘境感・昭和感・不便感ととても美しいお湯をお楽しみください。
宿の施設の不便さはあるでしょうが、日帰り入浴でもおすすめの1軒です。
Internet接続環境
ございません。
携帯3キャリアは「圏外」でした。
瀬戸瀬温泉ホテル
所在地:北海道紋別郡遠軽町湯の里
電 話:01584-4-2021
駐車場:30台
チェックイン:13時から(最終19時)/ チェックアウト:10時
総客室数:7
宿泊プランに食事付きはありません
冬季間は暖房料として1室500円が別途必要です
日帰り入浴:大人500円・小学生200円・幼児100円
営業時間 :8時〜20時
定休日 :水曜日
交通・アクセス
車:旭川紋別自動車道遠軽瀬戸瀬インターチェンジより道道493号経由で約20分
JR&バス:石北本線遠軽駅より遠軽町営バス瀬戸瀬温泉線で約40分。一日3往復(土日祝2往復)
タクシー:遠軽駅より25分