7月8日に解禁 8月9日時点でサンマの水揚げなし
7月8日に解禁された道東沖のサンマ流し網漁で、サンマが1匹も水揚げされない異常事態が続き、十勝、日高両管内の漁協所属の全10隻が9月末までの漁期を残し今年の漁を終える方針を決めた。
漁場が道東沖から遠のいていることが要因とみられ、道知事の許可制となった1997年以降、初めて漁獲ゼロで終漁する見通しとなった。
サンマ漁の幕開けを告げる流し網漁は、三陸沖から道東沖へ北上する魚群を小型船(10トン未満)で狙う。道や道東小型さんま漁業協議会(釧路市)によると、今年は広尾漁協(十勝管内広尾町)と大樹漁協(同管内大樹町)、えりも漁協(日高管内えりも町)の所属船計10隻が出漁に向けた道の実地検査を受けていた。
「漁をしても採算が合わない」
ただ、28日までに出漁したのは広尾漁協の所属船1隻のみ。同漁協によると、この船は11日に出漁したが「サンマを1匹も確認できなかった」ため、漁を打ち切った。
残る9隻も近年の不振などを踏まえ、「燃料費をかけて漁をしても採算が合わない」として今季の出漁を断念したという。
サンマ流し網漁は高値がつく序盤の「はしり」のサンマを狙い、10年ほど前まで解禁日には数百隻が釧路港などから一斉に出漁していた。
水揚げ量は2003年の3147トンをピークに減少を続け、19年はわずか89キロまで激減していた。
道東小型さんま漁業協議会の大坂秀実専務理事は「漁場が以前より遠のいており、小型船で見つけるのは難しい」と説明する。
北海道新聞 20210729 1116
サンマ流し網漁、水揚げゼロ
7月上旬に解禁され、サンマ漁のシーズン到来を告げる北海道東部沿岸の流し網漁の不振が続いている。
9日時点の水揚げはゼロで、記録の残る1997年以降では初めてだ。
サンマの資源減少や漁場が遠のいていることが原因とみられ、道内3漁協の所属船は9月末の漁期終了を待たず打ち切る方針を固めている。
サンマの流し網漁は網を固定せず潮流に流して魚を取る手法で、10トン未満の小型船が道東沿岸の太平洋で行う。
昨年は取れたサンマが店頭で1匹5980円の値をつけるなど、初物で人気が高いのが特徴。
今季は3漁協の全10隻が道の操業許可と検査を受け、広尾漁協の1隻が出漁していた。
共同 20210809 1708